3.11、それはあまりにも突然やってきた。うららさ んと怖い思いをして、バスを乗り継ぎ、やっと自宅に 帰った瞬間から TV 映像に釘付け。目を離すことが出 来なくなった。津波が、こども時代に親しんだ仙台の、 馴染みのある町や海岸をことごとく飲み込んでいた。 そして、原発が爆発する。風向きが、福島の伊達に向かっ たという。恵さんたちの霊山町。電話をすると、「こど もたちは山形に逃げているよ、東京の電気のためにわ たしたちが大変な目に合わなくてはいけないの、プル サーマル反対運動をしたけど、足りなかったねー。」と 怒っていた。

7 月になってやっと、被災した友人の居る亘理、そ して、仙台、松島、石巻へ行くことが出来、最後に伊 達を訪ねた。輝く緑の里山の美しさはまったく変わら ない。けれど、恵さんから「庭先で 1.7、裏山は 3 マイ クロシーベルトあるんだよ」「放射能に色がついていた らいいのにね」という言葉を聞いて、里山の美しさと のギャップにドキッとした。そして、2 ケ月が過ぎた

 撮影:河原光咲 《放射能に色がついてないからいいのかもしれない…と深い溜息…をつく》  Photos by Kawahara Misaki / "I guess it’s better that radiation doesn’t have color’....Sigh", 2011
撮影:河原光咲 《放射能に色がついてないからいいのかもしれない…と深い溜息…をつく》
Photos by Kawahara Misaki / “I guess it’s better that radiation doesn’t have color’….Sigh”, 2011

ころ、恵さんは「放射能に色がついていないからいい のかもしれない」と電話口で言った。それは、時が経 つにつれ、そう思わなくては居続けられない、生きて いけないという悲痛な声に思えた。恵さんの「また陶 器つくりをはじめるよ」という言葉に元気を得て、会 田恵展を小金井のギャラリーブロッケンで開催するこ とになった。わたしも原発についてのパフォーマンスをつくることにした。タイトルは《放射能に色がつい てないからいいのかもしれない……と深い溜息……を つく》。まさに恵さんの言葉からの出発。見えない放射 能の姿を見えるものにしよう。ガイガーカウンターの 線量によって変わる音をキーボードでたたく。玉ねぎ に蓄光塗料を塗る。その背後に山木屋(福島県川俣町) の人のいない小学校、人家のたたずまい、草に占拠さ れたビニールハウスのスチール写真が投影されていく。

 撮影:河原光咲 《放射能に色がついてないからいいのかもしれない…と深い溜息…をつく》  Photos by Kawahara Misaki / "I guess it’s better that radiation doesn’t have color’....Sigh", 2011
撮影:河原光咲 《放射能に色がついてないからいいのかもしれない…と深い溜息…をつく》
Photos by Kawahara Misaki / “I guess it’s better that radiation doesn’t have color’….Sigh”, 2011

多色の LED の目玉だけが暗闇を這う。赤い 5m の LED のテープを身にまとわりつかせると、身体を溶かすか のような光体があたりを真っ赤に染める。ラテックス ゴムの皮膜を、除染するかのように剥がす行為。 そして、同時に、嘉手納基地の映像が壁面に投影される。

Comments are closed.